ブッシュ靴投げ事件の真相と記者の現在|なぜ靴?驚異の回避劇
ブッシュ大統領に靴を投げつけた人物は、地元独立系テレビ局「アル・バグダディア」に所属していた当時29歳のイラク人ジャーナリスト、ムンタゼル・アル=ザイディ記者です。彼が凶行とも取れる直接行動に打って出た背景には、イラク戦争によって国土と国民が受けた計り知れない傷痕への激しい怒りがありました。
ザイディ記者は1足目を投げた際、アラビア語で「これがイラク国民からの別れのキスだ、この犬め!」と叫び、続けて2足目を投げる際には「これは未亡人や孤児、そしてイラクで殺されたすべての人々のためだ!」と糾弾の声を響かせました。
2003年に始まったイラク戦争とそれに伴う治安崩壊は、数十万人規模の民間人犠牲者を生み出しました。日常的に戦禍の凄惨な現場を取材し、同胞の死や悲劇を目の当たりにしていたザイディ記者にとって、「イラクの解放」を自賛するブッシュ大統領の言葉は到底受け入れられない欺瞞に映ったのです。自身の記者生命や身の危険を顧みずに行われたこの抗議は、虐げられた一般市民の怨嗟の声を代弁したものでした。