優しさで子どもを支配する罠 グルーミングの卑劣な手口と防衛策
現在、子どもたちを取り巻くデジタル環境は一層の複雑さを極めている。オンラインゲームのボイスチャット、写真共有アプリの消えるメッセージ機能、位置情報共有アプリなど、大人の目が届きにくいクローズドな空間が格好の温床となっている。
警察庁生活安全局の捜査幹部は、近年のサイバーパトロールにおいて、初接触から性的画像の送信要求に至るまでの期間が著しく短期化している傾向を指摘する。AIを悪用して児童の顔写真を加工・脅迫材料にする新手の手口も確認されており、サイバー空間における警戒網の強化が急務となっている。
こうした状況を受け、国の法執行体制も劇的な転換を迎えた。こども家庭庁が主導する「日本版DBS」制度の導入本格化に伴い、子どもと接する教育・保育現場における性犯罪前科の確認が義務付けられるなど、加害者のスクリーニングは厳格化の一途をたどる。さらに刑法改正によって「面会要求等罪(性交同意年齢に満たない者に対する手なずけ・誘引行為の処罰)」が厳格に適用され始め、直接的な性的接触に至る手前の「手なずけ(グルーミング)行為そのもの」を刑事罰の対象として摘発する事例が積み上がってきた。
法改正によって司法の包囲網は確実に狭まっている。だが、法が介入できるのは事態が表面化した後だ。水面下で進行する精神的支配をいかに水際で食い止めるかが、現場の課題として残されている。