呑兵衛が最後に辿り着く「赤星」熱処理ビールが誇る本物のコク
現代の日本で流通しているビールの9割以上は、酵母をろ過して取り除いた「生ビール」である。すっきりとした喉越しとフレッシュなキレが特徴の生ビールに対し、かつて主流だったのが酵母の働きを加熱によって止める熱処理ビールだ。赤星の愛称で親しまれる銘柄の真骨頂は、まさにこの熱処理工程にある。
熱を加えることで生まれる独特の香ばしさと、麦汁のボディがぎゅっと凝縮されたような重厚なコク。生ビールが喉を駆け抜ける爽快感を売りにするなら、熱処理を施したこのビールは、舌の上でじっくりと旨味を転がすための酒といえる。濃い口醤油で煮込んだもつ煮込み、タレの絡んだ焼き鳥、油の乗ったアジフライ。酒場の濃密な料理とぶつかり合わず、むしろ互いを引き立て合う骨太な味わいがそこにある。
瓶というパッケージにも重要な意味がある。茶色い遮光瓶は紫外線による味の劣化を極限まで防ぎ、工場出荷時の味わいをそのまま酒場へと届ける。さらに、手酌で小さなグラスに注ぎ合うという所作そのものが、日本の酒場における間合いや同席者との距離感を縮める潤滑油として機能している。