突然の息切れに潜む致命的リスク!肺塞栓の前兆と命を守る救命策
血栓はいかにして作られ、なぜ肺へ飛ぶのか。その病態生理の根底には、19世紀の病理学者ルドルフ・フォン・ヴィルヒョウ(Rudolf Virchow)が提唱した「ヴィルヒョウの三徴」と呼ばれる古典的かつ不変の原理がある。
具体的には、「血流の停滞」「血管内皮の障害」「血液凝固能の亢進」の3条件だ。同じ姿勢で座り続けると下肢の血流が淀み(停滞)、脱水や加齢、手術や外傷によって血管壁が傷つき(内皮障害)、さらに炎症や体質によって血液が固まりやすくなる(凝固亢進)。これらが重なったとき、静脈の弁周辺にゼリー状の血栓が形成される。
現代の循環器内科学(Cardiology)の知見によれば、立ち上がって筋肉が収縮した拍子に、この血栓が静脈の壁から剥がれ落ちる。血流に乗って右心房、右心室を経由し、一瞬にして肺動脈へ突入するのだ。世界的な医学データベースであるPubMed(国立医学図書館 文献プラットフォーム)に集積された膨大な研究論文でも、発症前の下肢不動時間と血栓塞栓リスクの相関が繰り返し実証されている。