日本中が泣いた五つ子の半世紀!知られざる現在の仕事と家族の絆
出産という最大の難所を越えた先に待っていたのは、想像を絶する育児の現実だった。母・山下紀子さんの毎日は、まさに戦場そのもの。1日に消費される粉ミルクは20本を超え、積み上げられた布おむつは天井に届くほどの山となった。誰かひとりが泣き出せば連鎖反応で大合唱が始まり、睡眠時間は細切れの数十分単位。それでも紀子さんは、愛情を等しく注ぎ、一人ひとりの個性を見つめ続けた。
一方、父・山下頼憲さんは職場の理解を得ながら家庭を支え、自らもテレビ放送・映像制作業のプロフェッショナルとして、節度ある距離感でメディアと向き合った。当時、日本放送協会が総力を挙げて制作した『NHK特集』をはじめとするドキュメンタリー番組は、単なる好奇心の対象としてではなく、家族の葛藤と絆を丁寧にすくい取る骨太な作品として世に送り出された。プライバシーと報道の狭間で葛藤しながらも、夫妻が築いたオープンで朗らかな家庭環境が、子どもたちの健やかな精神の土台となったことは疑いようがない。