沸き立つ土鍋に宿る職人魂!本場名古屋で愛され続ける至高の一杯
初めて訪れた人が必ず驚くのが、土鍋の蓋に空気穴が開いていないことだ。実はこの平らな蓋こそ、熱々の麺を冷ましながら食べるための「取り皿」として設計されている。蓋を裏返し、トングのように箸を使って麺と具材を数本すくい、蓋の上に美しく盛り付ける。これが地元で長年受け継がれてきた粋な作法だ。
通が実践するドラマティックな食べ進め方を紹介しよう。まず前半は、麺を蓋に移し、そのままダイレクトに噛み締めて小麦本来の香りと味噌の輪郭を味わう。中盤に差し掛かったら、土鍋の中央で半熟になった生卵を蓋の上へ優しくサルベージする。黄身を崩し、熱い麺を濃厚な卵液にくぐらせてすする。すき焼きを彷彿とさせる贅沢なコクが口いっぱいに広がる瞬間だ。
フィナーレには、必ず白飯を用意したい。麺をきれいに食べ終えた後、残った漆黒の味噌つゆの中へご飯を豪快に投入する。あるいは、蓋の上にご飯を盛り、上から熱いつゆとネギ、かしわの欠片をかけて雑炊風にいただく。最後の一粒まで土鍋の恵みを味わい尽くすことこそ、真の醍醐味である。