街の死角に潜む刃の正体とは?無差別殺傷の心理と命を守る防犯術
刑事法上、「通り魔」という独立した罪名が存在するわけではない。一般的には殺人罪や傷害罪、銃砲刀剣類所持等取締法違反などが適用される。実務上、警察庁は通り魔犯罪を「人の自由に出入りできる場所において、確たる動機がなく、通りすがりに出会った不特定の者に対して凶器等を用いて殺傷等を加える事案」と整理している。
標的が事前に選定されていない点こそが、この犯罪の最も凶悪な特質だ。怨恨や金銭トラブルといった明確な人間関係の摩擦が存在しない。被害者は単に「その時、その場に居合わせた」という偶然だけで生命の危機に晒される。都市空間の死角や雑踏を縫って突如として襲いかかる手口は、警察機関による事前の警戒網をかいくぐる狡猾さを孕んでいる。