2026年、なぜ「世界一美味しい料理」が日本で再爆発しているのか?本場タイの伝統と日本の進化系食文化が交差する最前線
この料理の魅力を深掘りする上で外せないのが、その類まれな歴史的背景である。「マッサマン」という名称は、かつてタイでイスラム教徒を指した「ムスリム(マスマン)」に由来するという説が有力だ。17世紀、アユタヤ王朝時代に中東からやってきたペルシャ商人たちによってもたらされたスパイスが、タイ現地の食材と融合したことで誕生した。
タイ本国の料理研究家は「一般的なタイカレーがバイマックルー(コブミカンの葉)やレモングラスといった生ハーブを中心とするのに対し、ドライスパイスを贅沢に使う点に最大の特徴があります」と語る。シナモン、カルダモン、八角、クローブ、ナツメグといったドライスパイスを丹念に炒め、そこにココナッツミルク、タマリンドの酸味、パームシュガーの甘みが加わる。19世紀のタイ国王ラーマ2世が詩の中でその美味しさを絶賛したという逸話も残るほど、古くから王室でも愛されてきた由緒ある宮廷料理なのだ。