なぜ芸人エッセイに魂が揺さぶられるのか?笑いと孤独が紡ぐ傑作選
近年では、よりエッジの効いた視点から日常を解剖する書き手たちが絶大な支持を集めています。
『僕の人生には事件が起きない』でベストセラーを記録したハライチ岩井勇気のエッセイは、ネット上でもその圧倒的な構成力と独特のひねくれた目線が評判を呼びました。「何も起きない日常」をこれほどまでにスリリングで笑えるエンターテインメントに仕立て上げる手腕は圧巻であり、無理にキラキラした毎日を送る必要はないという現代的な肯定感を与えてくれます。
また、鋭い人間観察と独特の気だるい文体で書評界隈を賑わせているのがヒコロヒーの著書『きれはし』です。華やかな芸能界の片隅で生きる芸人たちのリアル、夜の街の匂い、理不尽な大人たちへの冷ややかな視線が、ユーモアと乾いた叙情詩のような筆致で描かれます。さらに、言論人としても異彩を放つ爆笑問題・太田光の著書に見られる知性と情熱の奔流など、芸人たちの執筆表現はますます多角的な広がりを見せています。