エリート神話の落日:国立大学医学部に迫る過酷労働と研究破綻
近年の医師国家試験は単なる知識の暗記にとどまらず、高度な臨床判断能力を問う難度の高い出題が目立つ。必死の思いで試験を突破した新世代の医学生たちは、かつての医局人事のように「滅私奉公」を受け入れることはない。彼らのキャリア観は極めて合理的で現実的だ。
過酷な国立大の医局入局を避け、初期研修の段階から給与や福利厚生、労働環境が整った都市部の民間病院を選ぶ傾向が顕著になっている。日本医師会や行政が主導する地域医療構想は、大学医局からの医師派遣を前提として設計されていた。しかし、その派遣元の大学医局自体が若手不足で干上がっている。結果として地方の公立病院から次々と医師が引き揚げられ、地方医療のネットワークは急速に瓦解へと向かっている。