路地裏に潜む本物の味とは?失敗しない大人の神戸グルメ名店案内
1868年の開港とともに外国人居留地が拓かれた神戸市。客船のコックたちが陸に上がり、西洋料理を日本人の舌に合わせて洗練させたのが神戸洋食のルーツだ。皿の上には、日本の外食産業の黎明期を支えた職人たちの執念が今なお色濃く残っている。
象徴的なのが、漆黒の輝きを放つデミグラスソースである。牛骨や香味野菜を数週間かけて煮込み、継ぎ足しを繰り返しながら守り抜かれてきた深いコク。元町や花隈の路地にひっそりと佇む老舗洋食店で、薄衣をまとったレアのビフカツ(牛カツ)にこの濃厚なソースが絡む瞬間、言葉を失うほどの陶酔が訪れる。家庭料理の延長ではない、技術と時間を惜しみなく注ぎ込んだ工芸品のような洋食。これこそが大人がわざわざ足を運ぶべき価値の源泉にほかならない。