京都の小学生はなぜランドセル不使用?軽量鞄が変える通学の常識
時計の針を1968年(昭和43年)に戻そう。発祥の地は、竹林が広がる京都府向日市。当時、鞄・服飾雑貨製造業を営んでいた株式会社マルヤの創業者・鈴木良春のもとに、ある相談が持ち込まれた。地元の小学校校長が「重いランドセルに教科書を詰め込み、肩を痛そうにして歩く児童の姿を見るのが忍びない。もっと軽くて、安価で、雨や汚れに強い通学用カバンを作れないか」と頭を下げたのだ。
高度経済成長期、牛革のランドセルは一般家庭にとって決して安くない買い物だった。加えて当時の小学生にとって、1キロを超える革鞄そのものが大きな負荷となっていた。鈴木良春は試行錯誤の末、帆布とナイロンを組み合わせた画期的なカバンを開発。これが正式名称「ランリック」(一般にはランリュックと呼称)の誕生である。
本体重量はわずか700グラム台。本革ランドセルの約半分という圧倒的な軽さに加え、交通安全を意識した遠目からも目立つイエローカラーを採用した。家庭の経済格差を感じさせず、誰もが平等に、かつ安全に通学できるようにという配慮は、京都府南部の自治体を中心に瞬く間に受け入れられ、学校指定や推奨品として定着していった。