子連れ狼からハリウッドへ!若山富三郎の圧巻殺陣と不屈の軌跡
名優・若山富三郎の圧巻の殺陣と伝説的名作を徹底解剖する上で、金字塔『子連れ狼』シリーズ(小池一夫原作・小島剛夕画)は絶対に避けて通れない。主人公・拝一刀を演じた若山が見せたパフォーマンスは、まさに狂気と美の極致だった。
胴太の豪剣「胴太貫」を携え、乳母車を押しながら刺客を切り捨てる一刀。若山は武道家としてのリアリズムを徹底的に追求し、立ち回りの型を従来の歌舞伎的な様式美から、骨を断ち肉を裂く実戦的なアクションへと昇華させた。撮影現場では真剣に近い重量の特注刀を軽々と操り、カットを割らずにワンテイクで十数人を斬り伏せることも日常茶飯事だったという。
特に有名なのが、波打ち際や雪原での過酷なロケーション撮影だ。極寒の地でも一切息を乱さず、目にも留まらぬ速さで刀を鞘に納める。その居合のスピードは0.1秒台とも称された。クエンティン・タランティーノをはじめとする海外の巨匠たちが熱狂し、のちのハリウッドアクションに決定的な影響を与えた伝説の原点がここにある。