衆議院解散でなぜ叫ぶ?議員が一斉に万歳する歴史と舞台裏の真実
本会議場で響く万歳には、実は公式なマニュアルが存在しない。国会法にも衆議院規則にも「解散時は万歳を叫ぶべし」という規定は一行も書かれていないのだ。それにもかかわらず、議場全体が地鳴りのような歓声に包まれる背景には、長年語り継がれてきた二大仮説がある。
一つは、解散を命じる天皇の詔書に対する敬意の表明だ。戦前の大日本帝国憲法下では、解散は天皇の大権であり、その詔勅が下されたことに対して忠誠を示し万歳を唱えた名残とされる。もう一つは、過酷な選挙戦へ突入する代議士たちの「出陣の雄叫び」だ。落選の恐怖を振り払い、自らを鼓舞するやけくそじみた気合入れとも言える。内閣総理大臣の乾坤一擲の勝負手に呼応し、議場が一瞬にして戦場へと切り替わる合図なのだ。
もっとも、すべての議員が無条件で両手を挙げているわけではない。野党議員の中には「大義なき解散」に抗議して腕組みのまま着席し続ける者もいれば、深々と頭を下げるだけの者もいる。万歳三唱の輪に加わるか否か自体が、自らの政治姿勢をアピールする無言のメッセージになっている。