震災から2年、伝統工芸の「これまでとこれから」を塗り替える——輪島キリモトが挑む漆と木の未来
キリモトの歴史を紐解くと、その根底には江戸時代末期から続く「木型屋」としての誇りがある。かつては輪島塗の要である椀や盆などの木地(素地)を専門に制作し、職人たちの高度な要求に応え続けてきた。この長年培われた木工技術こそが、他の漆器ブランドにはない独自の強みだ。アスナロ(あすなろ)、ケヤキ、朴(ほう)といった国産材の特性を熟知し、木の収縮や歪みを見極める眼力は一朝一夕で身につくものではない。
七代目である桐本泰一氏は、大学でプロダクトデザインを学んだ異色の経歴を持つ。伝統的な漆器の枠組みにとらわれず、「現代の住空間に合う木と漆の道具」を提案し続けてきた。堅牢な木地づくりに留まらず、表面の質感や手触りにまでこだわり抜く姿勢は、日本のクラフトデザイン界に確固たる地位を築く原動力となった。