英雄・吉田昌郎の子供たちの現在|作品で描かれぬ遺族の肉声を追う
吉田昌郎という人物は、日本を代表する名優たちによって演じられてきた。『Fukushima 50』で鬼気迫る形相で叫び、現場を統率した渡辺謙。そして『THE DAYS』で組織の不条理に苦悩しながらも命の重みと対峙した役所広司。二人の圧倒的な名演は、国内外の視聴者に強い感動を与えた。
だが、スクリーンに映し出された張り詰めた表情の指揮官像と、息子たちが記憶している父親の姿には、愛すべき「ギャップ」が存在した。大学時代にボート部で培った泥臭い体育会気質を持ちながらも、家では大好物の料理を囲んで冗談を飛ばし、息子たちの他愛のない話に誰よりも大笑いする。そんな飾らない温かさこそが、家族にとっての「本当の吉田昌郎」であった。
役所広司や渡辺謙が体現した極限の責任感は本物である。しかしその強さの根底には、守るべき我が子や妻が待つ「日常」への強い執着と愛情があったことは疑いようがない。