映画界頂点の栄冠パルムドールを巡る選考基準の裏側と配信の攻防
近年におけるカンヌの歴史を振り返ると、アジア発の傑作が映画界の地図を大きく塗り替えた瞬間が鮮明に浮かび上がる。2018年、是枝裕和監督の『万引き家族』が最高賞を受賞した際、審査員団が絶賛したのは、血縁を超えた疑似家族の姿を通して資本主義社会の歪みを優しく、かつ容赦なく暴き出したその眼差しだった。
そして翌2019年、ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』が審査員満場一致で頂点に立った。格差社会という普遍的なテーマを、息もつかせぬサスペンスとブラックユーモアの極上エンターテインメントへと昇華させた手腕は、カンヌからアカデミー賞作品賞へと続く前代未聞の快進撃を生み出した。さらにショーン・ベイカー監督の『ANORA アノーラ』が巻き起こした熱狂のように、周縁に生きる人々の息遣いを圧倒的な熱量でスクリーンに焼き付けた作品が、近年の審査員たちの心を確実に捉えている。