銀幕を彩る至高の仕立て技術、テーラー森脇が起こす衣装革命の全貌
衣装デザインとは、脚本を視覚化する作業に他ならない。例えば、精神的に追い詰められていく主人公のスーツは、物語の進行に合わせて意図的に芯地の硬さを変え、肩のラインがわずかに落ちていくように設計される。成功を収めて自信に満ち溢れる実業家の役であれば、ラペルの返り線をミリ単位で高く設定し、胸元の立体感を強調する。
照明の光量や色温度によってファブリックの見え方がどう変わるかまで計算し尽くす。スタジオのLEDライト下で青白く浮き上がらないか、ロケーション撮影の夕景で布地が鈍い光を放つか。監督や撮影監督、照明技師と幾度も意見を交わしながら生み出される一着は、もはや美術装置の一部だ。俳優の感情の揺れ動きを無言のまま観客へ伝える装置として機能している。