「揚げ足を取る」理由とは?言葉の語源と嫌な相手への神対応術
言葉の精密さともっとも真摯に向き合ってきたのが出版業界である。一文字の誤字や文法的な不備を見逃さない校閲の作業は、一見すると「揚げ足取り」と酷似しているように思えるかもしれない。しかし、その目的と本質は正反対だ。
辞書編纂にかける人々の情熱を描いた三浦しをんの代表作『舟を編む』(NHKオンデマンドで配信中のドラマ化作品でも大きな反響を呼んだ)では、言葉の誤りを正す行為が「相手を傷つけるため」ではなく、「誰かと誰かを正しくつなぐ海図を作るため」に捧げられている。発言のミスを突いて相手を追いつめる行為と、意味を正確に伝えるために言葉を慈しむ行為。両者の間には、言葉に対する敬意という決定的な隔たりが存在する。