2026年、小倉の街が沸いた。「コンペ イトウ」が仕掛ける伝統と革新の熱狂劇
今回の展示でとりわけ熱い視線を集めているのが、地元・小倉で長年伝統を守り続けてきたベテラン職人「イトウ」の手による作品だ。直径数十センチの巨大な銅釜を斜めに傾け、一定の速度で回転させながら少しずつ蜜を打つ。その手さばきは、まさに職人技の極致と言える。
「その日の湿度と気温、釜の傾斜角ひとつでツノの立ち方がガラリと変わる。AIや機械では絶対に再現できない」とイトウ氏は語る。長年の勘と五感すべてを研ぎ澄ませて作られた作品は、まるで宝石のような美しい幾何学構造を描き、光を透かして幻想的な陰影を生み出す。クラフトマンシップが到達したひとつの頂点が、ここにある。