湘南・二宮「ブーランジェリー ヤマシタ」五感を揺さぶるパンと空間
この店の味を決定づけているのは、店主である山下雄作氏の揺るぎない美学だ。彼が長年歩んできた製パン業の道のりは、素材や自然との対話を重ねる試行錯誤の連続であった。既成のイーストに安易に頼るのではなく、日々命を吹き込む自家製天然酵母パンこそが、ヤマシタの代名詞と言える。
「酵母は生き物。気温や湿度の微細な変化に合わせて、毎日違う表情を見せる」と山下氏は語る。発酵の進み具合を見極め、小麦粉の種類や水の硬度、捏ねあげる温度まで徹底的にコントロールする。時間を惜しまず低温でじっくり発酵させて焼き上げられたパンは、外側のクラストがパリッと香ばしく、内側のクラムは驚くほどしっとりとした水分量を保つ。噛みしめるほどに小麦本来の自然な甘みが溢れ出し、一口食べればその圧倒的な旨味に驚かされる。