限界集落の常識を打ち破る「起業家たちの新聖地」——島根の山あいで起きている静かな地殻変動
観光資源のポテンシャルも圧倒的だ。春になれば、木次(きすき)町の斐伊川堤防沿いには約2キロメートルにわたって800本ものソメイヨシノが咲き誇り、「日本さくら名所100選」にも選ばれたピンク色のトンネルが出現する。夜間ライトアップに映える幻想的な夜桜は、国内外の旅行者を魅了して止まない。
この美しい景観をさらに引き立てているのが、地域を走るローカル線・JR木次線だ。全国的に厳しい状況が続く地方鉄道だが、ここでは地域観光の重要な軸として再定義されつつある。2026年の現在、観光列車の運行や沿線自治体が一体となった体験型ツアーの拡充により、鉄道ファンのみならずインバウンドの旅人たちが中国山地の美しい車窓風景を楽しみに訪れる。効率性だけでは測れない「時間を楽しむ旅」の価値が、ここに凝縮されている。