【現地ルポ】ジャパニーズ・ウイスキー狂乱の2026年——「ウイスキーの父」竹鶴政孝の血脈と子孫たちが守り抜く「誇り高き遺産」
竹鶴政孝とリタの間には実子が恵まれなかった。そのため、政孝の甥にあたる竹鶴威(たけし)氏が養子として竹鶴家に入り、実質的な後継者として育てられた。威氏はブレンダーとしての苛烈な英才教育を受け、後にニッカウヰスキーの社長および会長を歴任。政孝が築いた「余市」の伝統を守りつつ、「宮城峡」蒸溜所の建設を主導するなど、ニッカの事業的・品質的基盤を決定づけた人物である。
その威氏の息子であり、政孝の孫にあたるのが竹鶴孝太郎氏だ。孝太郎氏は自らもウイスキー評論家や歴史研究の第一人者として活動し、祖父と父が遺したノートや書簡を検証し続けている。企業組織が巨大化してもなお、現場の「一滴へのこだわり」を血族の視点から厳しく見守り続ける存在。それが、竹鶴家が今もウイスキー界で特別な敬意を集める最大の理由だ。