西陣の老舗・富田屋が放つ伝統の真髄と町家保存の新プロジェクト

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敷地内に足を進めると、まず驚かされるのは光と風の計算し尽くされた配置だ。敷地内には6つの坪庭と3つの茶室、そして3棟の土蔵が巧みに配置されている。奥へ行くほど深くなる町家の構造上、通風と採光の確保は死活問題だった。先人たちは坪庭を設けることで温度差による気流を生み出し、京都の酷暑をしのぐ知恵を結実させた。

こうした建築技術の卓越性と歴史的景観の重要性が認められ、1999年には文化庁によって国の「登録有形文化財」に指定された。文化庁が定める基準のなかでも、富田屋のように「実際に生活が営まれながら原形を留めている大型町家」は極めて希少とされる。釘を極力使わずに組まれた木組み、漆喰壁の調湿作用、四季折々の襖や簾の入れ替え。建物そのものが呼吸するような構造は、現代のサステナブル建築の視点からも再評価の機運が高まっている。

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