ヴェネツィア金獅子賞『彼方から』結末の真相と最新配信を解剖
義歯技工所を営む50代の孤独な男アルマンド。彼を演じるのは、チリ映画界を代表する名優アルフレド・カストロ(Alfredo Castro)だ。彼の虚ろな眼差しと抑制された肉体言語が、オープニングから観る者を不穏な世界へと引きずり込む。
アルマンドは路上で若い男をスカウトし、自宅に連れ込んでは「触れずに服を脱がせて眺める」という異常な執着を持っていた。ある日出会ったのは、ストリートギャングのリーダー格である少年エルダー。荒々しく反抗的なエルダーは最初アルマンドを殴り倒して金を奪うが、金を介した奇妙な逢瀬を重ねるうちに、二人の関係は予期せぬ方向へと変容していく。
ベネズエラの首都カラカスが抱える貧困と治安の悪化、そして家庭の崩壊。エルダーにとってアルマンドは搾取の対象から、やがて自身が求めてやまなかった「父親の幻影」へと重なっていく。しかし、その温もりはどこか冷淡で、常に観察者の距離を保ったままだった。