痛快エンタメから社会派まで!名匠・本木克英が放つ独自演出の深層
大企業のリコール隠しと戦う中小企業の運命を描いた『空飛ぶタイヤ』は、日本映画界における社会派エンターテインメントの金字塔となった。財閥系巨大企業の冷酷な論理に対し、整備不良の濡れ衣を着せられた運送会社社長が尊厳をかけて立ち向かう。張り詰めたサスペンスの中に、働くすべての人々への讃歌を込めたこの作品は、日本アカデミー賞でも数々の優秀賞に輝き、高い評価を決定づけた。
また、自身の出身地である富山県を舞台にした『大コメ騒動』では、100年以上前に起きた名もなき女性たちの反乱を描き切った。家族に米を食べさせたいという一心で立ち上がった女性たちのエネルギーを、ユーモアと熱狂を交えて活写。巨大な権力や理不尽なシステムに押しつぶされそうになりながらも、決して屈しない庶民のバイタリティを描く視線は、本木作品に通底する最も力強いテーマである。