トマトはどっち?果物と野菜の意外な境界線と食卓を揺るがす真実
日本国内の流通現場において、分類の基準を握っているのが農林水産省だ。行政の統計や生産指導の現場では、極めて明快な基準が敷かれている。木に実がなる「木本(もくほん)性植物」の収穫物を「果樹(果物)」とし、草から育つ「草本植物」の収穫物を「野菜」と定義づけているのだ。
このルールに照らし合わせると、日本の農業における長年の常識が見えてくる。地面を這うツルから収穫されるスイカ、イチゴ、メロンは、すべて草本植物であるため行政上は「野菜」に属する。ただし、これらを食卓で大根やキャベツと同じ文脈で扱うのは無理がある。そこで農水省は、主食の副菜ではなくデザートや間食として消費される品目に対し、「果実的野菜」という絶妙なハイブリッド概念を設けて実態に即した運用を図っている。
一方で、ミカンやリンゴ、モモ、ブドウのように、何年も生き続ける樹木に実を結ぶ作物は揺るぎない果樹として管理される。行政の線引きは生産現場の栽培サイクルに根ざしており、私たちが味覚で感じる「甘さ」や「酸味」とは全く別の次元で決定されているのだ。