タチとネコの本当の意味とは?恋愛観を揺さぶる役割と深層心理
「タチ」は歌舞伎の「立役(たちやく)」、「ネコ」は芸者や寝技の「寝子」に由来するとされる俗説が根強い。作家の伏見憲明が早くから指摘してきたように、日本の同性愛文化においてこれらの言葉は、抑圧的な社会の視線をかいくぐり、仲間同士のコミュニケーションを円滑にするためのサバイバルツールとして洗練されてきた。
かつては夜の街やミニコミ誌に閉じ込められていた言葉だが、1990年代以降のクィア・スタディーズの興隆や、ボーイズラブ(BL)文化のメインストリーム化に伴い、急速に一般層へと浸透していく。フィクションにおける記号的表現として消費される一方で、生身の人間のリアリティを単純な二項対立に押し込めてしまう危険性も常に隣り合わせだった。