熊本「長崎次郎喫茶室」の現在|閉店の噂の真相と名物ナポリタンの魅力
長崎次郎喫茶室が入居する建物のルーツは、明治7年(1874年)に創業した九州屈指の老舗書店「長崎次郎書店」に遡ります。夏目漱石や森鴎外、小泉八雲といった名だたる文豪たちも熊本滞在期に足を運んだと伝えられる、まさに熊本の近代文化を支えた象徴的な拠点です。
現在の建物は、大正13年(1924年)に建築家・片岡安の手によって再建された木造2階建ての洋風店舗建築です。片岡安といえば、大阪市中央公会堂の設計にも関わった近代建築界の巨匠。その端正な意匠と歴史的価値の高さから、国の登録有形文化財に指定されています。
ギシギシと心地よい音を立てる木製の階段を上り2階の喫茶室へと足を踏み入れると、高い天井と漆喰の壁、飴色に磨き上げられたアンティーク家具が迎えてくれます。大正から令和へと受け継がれてきた時の厚みが、訪れる人の心を静かに解きほぐします。