寺島しのぶ濡れ場の覚悟と真実|名作に刻む圧倒的な女優魂の軌跡
父は七代目尾上菊五郎、母は富司純子。歌舞伎界最高峰の血筋に生まれながら、女性であるという理由だけで伝統の舞台に立つ道を閉ざされた。その葛藤と表現への飢餓感が、彼女を映画という表現の荒野へと駆り立てた原動力だったに違いない。
2003年、荒戸源次郎監督の『赤目四十八瀧心中未遂』で彼女が見せた覚悟は、映画界に衝撃を与えた。背中に刺青を背負った娼婦・綾役。泥濘のなかで生きる女の生々しい息遣い、そして一切の虚飾を剥ぎ取った濡れ場は、見る者の胸を締め付けた。体裁を取り繕うことを潔しとせず、全身全霊で役と同化したこの熱演により、彼女は日本アカデミー賞最優秀主演女優賞をはじめとする国内の映画賞を総なめにする。名門の令嬢というレッテルは、自らの肉体を晒すことで完全に粉砕された。