樹木希林が遺した最期の真実と死因|家族が語る全身がん闘病の軌跡
『万引き家族』と並び、希林さんの遺作群として輝きを放ち続けるのが、河瀨直美監督の『あん』と大森立嗣監督の『日日是好日』だ。
ハンセン病回復者の女性を演じた『あん』では、小豆の声を聴きながら粒あんを炊く繊細な手つきと、理不尽な差別に晒されながらも世界を愛し続けた人間の気高さを体現した。一方、茶道の師匠・武田先生役を務めた『日日是好日』では、季節の移ろいと日々の所作のなかに息づく「一期一会」の尊さを説いた。
どちらの作品においても、彼女の演技は「演じる」という作為を感じさせない。そこにただ存在するだけで、空間の空気が澄み渡り、観る者の心に確かな体温を残す。自らの死期を悟りながら、映画という媒体に自らの生きた証を刻み込んでいたかのようだ。