守られるだけの時代は終わった:ジブリ女性キャラが変えた映画史
ジブリヒロインの多層的な魅力は、スタジオを牽引した二人の巨匠の作家性のぶつかり合いによって研ぎ澄まされた。宮崎駿が描く女性たちは、疾走感に満ち、理想主義的で、どこか神話的な力強さを帯びている。巨神兵の前に立ちはだかる少女や、大空を自在に駆けるパイロット。宮崎作品の女性は、観客が「こうありたい」と願う魂の気高さを体現する。
対照的に、高畑勲が追求したのは冷徹なまでのリアリズムと人間の不可解さだった。『おもひでぽろぽろ』のタエ子が抱える割り切れない自意識や、『かぐや姫の物語』で描かれた地上への愛着と絶望。高畑の手にかかると、女性はファンタジーの住人ではなく、生活の匂いと精神のきしみを持った生身の存在として立ち現れる。理想を追う宮崎のアニミズムと、現実を解剖する高畑の観察眼。この双方向のアプローチがあったからこそ、アニメーション映画における女性描写の深みは前人未踏の域へと達した。