市川猿之助と母親の知られざる真実|澤瀉屋の葛藤と残された証言
澤瀉屋の歴史を語る上で、従兄弟である香川照之(九代目市川中車)の歌舞伎界入りは大きな転換点だった。父祖の血脈を受け継ぐ二人の実力者が合流したことで、一門の勢力は劇的に拡大した。しかし、それまで延子さんや段四郎さんが守ってきた小さな家族の秩序に、新たな血流が流れ込んだことによる心理的な揺らぎも否定できない。
一門の将来をどう舵取りしていくのか。香川の長男である市川團子の育成を含め、次世代への継承を巡る議論は、家族内の力学をより複雑なものにしていった。猿之助が一人で背負うべき荷物は年々重さを増し、相談相手としての母への依存度が無意識のうちに高まっていった側面も見逃せない。