聖徳太子「和の真意」とは?組織を変える古代リーダーシップの本質
太子の精神的支柱となったのが、当時大陸から伝来したばかりの仏教と儒教を融合させた東洋哲学・思想の精髄である。『論語』にある「君子は和して同ぜず、小人は同して和せず」という有名な命題は、太子の思考を読み解く決定的な鍵となる。
主体性を捨てて安易に他者に同調する態度は、東洋の賢人たちによって厳しく退けられてきた。世界最古の木造建築群として今なお斑鳩の地に聳える法隆寺の伽藍を見渡せば、その思想の深さが五感を通じて伝わってくる。左右対称の均整美をあえて崩し、金堂と五重塔という全く異なる構造物を並立させながら全体として崇高な均衡を保つ建築美学。これこそが「異質な個が響き合う調和」の具現化にほかならない。
異論を排除して同質性の中に安住する組織は脆い。互いの違いを認め、摩擦を恐れずに協調を紡ぎ出す作法を、太子は建築空間と哲学の両面から後世に遺した。