少女たちの熱狂はどこから来たか 弥生美術館が放つ挿絵の魔力
2026年、美術館を巡る文脈の中で再評価の波が押し寄せているのが、視覚文化の底流を支えた大衆出版の歴史だ。企画展として練り上げられた大正ロマン・昭和モダン展の系譜を引く展示構成は、従来の美術史が「通俗的」と切り捨ててきた商業印刷の真価を容赦なく問い直す。ショーケースに並ぶ雑誌の表紙、付録の絵封筒、緻密なペン画の数々。それらは当時の読者にとって、日々の過酷な現実を塗り替えるための窓だった。
特に目を奪われるのは、少女文化・乙女カルチャーの揺籃期を彩った挿絵画の変遷だ。大正期の儚げでアンニュイな眼差しから、昭和初期の凛としたモダンガール、そして戦後の復興期に見られる力強い瞳へ。時代の空気を吸い込みながら変化した少女像の変遷を辿る独自取材のなかで浮かび上がったのは、大衆が求めた「理想の美」の生々しいリアルである。