傷口にウジ虫?絶望の症状と命を救う「マゴットセラピー」最前線

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生物を用いたこの治療法は、突飛な現代科学の思いつきではない。歴史的な転換点は第一次世界大戦の惨烈な現場にあった。米国の整形外科医ウィリアム・S・ベアは、負傷から数日間にわたって戦場に取り残された兵士たちの傷口に無数のウジ虫が群がっている惨状を発見した。ところが驚くべきことに、すぐさま野戦病院で滅菌処置を受けた兵士よりも、ウジ虫に覆われていた兵士の方が壊死や全身感染症を起こさず、創傷面が綺麗に再生していたのだ。

ベア医師は帰国後、骨髄炎や難治性創傷に対する臨床治療としてハエ幼虫の導入を本格化させた。20世紀半ばのペニシリン登場に伴い抗生物質の黄金時代が訪れると一時的に追いやられたものの、耐性菌の出現や高齢化に伴う難治性潰瘍の急増によって、現代の医療・ヘルスケア産業は再びこの古典的アプローチを再評価せざるを得なくなった。切断しか選択肢のなかった足病変を救うバイオデブリードマン(生物学的組織清掃)として、いまや世界の医療機関で確固たる地位を再構築している。

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