渋沢栄一の大河ドラマ『青天を衝け』吉沢亮が宿した魂と史実の真相
本作のもうひとつの背骨となったのが、草彅剛が演じた最後の将軍・徳川慶喜の存在である。尊王攘夷に燃えていた農民・栄一が、皮肉にも幕臣として仕えることになった運命の巡り合わせ。二人の間に芽生えた強固な信頼関係は、作中屈指の名シーンとして視聴者の胸を打った。
孤高の静けさを湛えた徳川慶喜と、太陽のように前へ突き進む渋沢栄一。草彅剛の抑制された演技が吉沢亮の情熱を際立たせ、幕府の終焉と明治維新という巨大な地殻変動を、主従の人間ドラマとして再定義した。パリ万博への派遣という史実上の転機を経て、日本の旧態依然とした身分制から解き放たれていくプロセスは、まさに第一級のサスペンスを観るかのごとき緊迫感に満ちていた。