「入れ食い」の真意と語源を追う!ビジネスや恋愛の誤用と落とし穴
「入れ食い」の原点を探るべく、まず目を向けたいのは日本の豊かな海洋文化と水産・レジャー産業の歴史である。文字通り、釣り針に餌を付けて水中に「入れ」れば、即座に魚が「食い」つく状態を指す。潮回りと水温、プランクトンの発生、群れの活性が完璧に噛み合ったごくわずかな時間帯にのみ発生する、釣り人にとっての奇跡的な瞬間だ。
昭和から平成にかけて少年たちを熱狂させた矢口高雄の不朽の名作『釣りキチ三平』では、水面が波打ち、竿がしなり続ける臨場感あふれる入れ食いシーンが幾度となく描かれた。大自然への畏敬の念とともに描かれるその光景は、努力と知識、そして運が結実した最高潮のドラマであった。また、タレントで東京海洋大学名誉博士のさかなクンがテレビ番組や講演で熱っぽく語るように、魚類の摂餌行動が極限まで高まる「時合い」の生態学的メカニズムは極めて緻密であり、決して偶然のみで片付けられる現象ではない。