ファインアートの狂気と愛憎——水沢アキが今ふりかえる篠山紀信との「一瞬」、そして写真史に刻まれた劇的対話
当時、一線を画す女優がヌード写真集を発表することには、現代の感覚からは想像もつかないほど過激な社会的インパクトが伴っていた。スキャンダリズムと好奇の目に晒される過酷な環境の中で、彼らの生み出した作品群が異彩を放ち続けた理由、それはそこにあった圧倒的な美学的強度にほかならない。
光と影の激しいコントラスト、ニューヨークの無機質な雑踏と対比される人間の皮膚の生々しさ。それは単なる消費材としてのグラビアではなく、被写体の人生そのものを写し取ったドキュメンタリーであり、ファインアートとしての高みに達していた。日本の出版界と写真表現の限界線を押し広げた功績は、時代が下るほどにその価値を増している。