【追跡2026】「ハニーハニーキス」マフィン食中毒事件から3年——手作りフードの安全神話崩壊と、激変したマルシェ最前線
なぜ、これほど大規模な食中毒が発生したのか。原因の核心は、製菓衛生における「水活性」と温度管理の無知にあった。
砂糖や塩は、単なる味付けの要素ではない。食品中の水分を結合させ、細菌が利用できる自由水を減らすという重要な防腐作用を担っている。しかし、当時の店主は「健康に配慮する」という目的から、砂糖の量を極限まで減らしていた。さらに、栗や果物といった水分量の多い素材をふんだんに使用しながら、5日以上前に製造したマフィンをクーラーボックスや保冷剤すら用いず、暖房の効いた室内に放置していたのだ。
結果、セレウス菌やウェルシュ菌、黄色ブドウ球菌といった高温に強い芽胞菌や腐敗菌が爆発的に増殖。善意と無知が結びついたとき、手作りスイーツは一瞬にして危険な毒物へと変貌した。