昭和アーケードとアジアン熱気が交錯する「ディープ大阪」の最前線――空き店舗の若手起業と多文化共生が紡ぐ2026年のリアル
今里の真骨頂は、その底知れぬ多様性にある。近隣の生野コリアンタウンからの文化的な地続き感に加え、近年はベトナムやネパール、中国出身の住人が急増。それに伴い、食のランドスケープが劇的な変化を遂げた。
大衆食堂の隣で炭火を熾すのは、ベトナム出身の女性が営むバインミー専門店だ。自家製のフランスパンにレバーペーストと甘酸っぱいなます、そしてたっぷりのパクチーを挟む。そのすぐ向かいでは、創業60年のコロッケ店が香ばしい油の音を立てている。「最初は匂いや言語の違いで戸惑いもあった。でも、旨いもんを作って誠実に商売している仲間だと分かれば、言葉の壁なんて関係ない」と近所の精肉店主は笑う。和食、韓国料理、エスニックが渾然一体となった独自のグルメゾーンが形成されつつある。