フィレンツェの歓喜からニースの激闘へ:自転車界の常識を打ち破った「伝説の夏」を検証する
この年のツールが特別だったもう一つの大きな理由は、1903年の第1回大会以来、史上初となる「パリ以外でのフィニッシュ」だった。同年のパリオリンピック開催に伴う警備と準備の関係から、最終決戦の地は地中海に面したリゾート地、ニースへと変更された。
最終ステージの伝統的なシャンゼリゼでのウイニングランは姿を消し、代わりに用意されたのはモナコからニースへと至る23.7キロの過酷な個人タイムトライアル。最後まで緊張感が切れないコースレイアウトは、選手たちに息をもつかせぬ攻防を強いた。プロムナード・デ・ザングレの青い海をバックに繰り広げられた幕切れは、レースの歴史に新しい1ページを刻んだ。