スマイリーキクチ中傷被害の真相と闘い|Sns社会を生き抜く教訓
悪夢は、何の前触れもなく訪れた。1999年、ネット掲示板に書き込まれた一本の短い投稿がすべての発端だった。1980年代後半に起きた凶悪事件「女子高生コンクリート詰め殺人事件」の犯人グループのひとりが、芸人として活動している——そんな根拠のないデマである。出身地や年齢が近かったというだけで、悪意に満ちた憶測は瞬く間に真実味を帯びた噂として一人歩きを始めた。
当時、日本のお笑い界は空前のブームに沸いていた。フジテレビ系の人気番組『ボキャブラ天国』で注目を集め、毒舌と軽妙なキャラクターで人気を博していた彼の日常は、突然暗転する。劇場の出演リストに名前が載るだけで、主催者には「殺人犯を出すな」と脅迫めいた抗議電話が殺到した。仕事は次々とキャンセルされ、街を歩けば好奇と敵意の視線に晒される。火の無い所に煙は立たない、という無責任な世間の言葉が、彼の首を容赦なく絞め上げた。