怪演と低音ボイスの深淵、名優・伊武雅刀が明かす表現者の矜持
シリアスな名優というパブリックイメージを軽やかに裏切るのが、1970年代末から1980年代初頭にかけて一大旋風を巻き起こした『スネークマンショー』での活動だ。桑原茂一、小林克也らと共に創り出した過激でナンセンスなコントの世界は、当時の若者文化を激震させた。
「愛のホテル」をはじめとするカルト的人気を誇るトラックで聴かせた、狂気と知的ユーモアが同居するパフォーマンス。あの低く美しい声で放たれる不条理極まりない台詞の数々は、既存の権威や常識をあざ笑うような破壊力に満ちていた。気品ある悪役を演じながら、同時に最高峰のアバンギャルドな笑いを生み出す。この極端な振れ幅こそが、彼を唯一無二の存在たらしめている根源である。