なぜ最高のエリート集団が暴走するのか?破滅を回避する組織防衛術
集団の暴走は、精神論や個人の善意だけで防ぐことはできない。組織の設計そのものに、異論を強制的に生み出す「防衛システム」を組み込む必要がある。以下に挙げる5つの処方箋は、数々の失敗から導き出された最も実効性の高いアプローチだ。
第一に、「悪魔の代弁者(デビルズ・アドボケート)」の公式な制度化である。議論の席で、あえて全員の合意事項に噛みつき、最悪のシナリオを突きつける役割を交代制で義務付ける。役割として批判を命じられているため、人間関係を損なうことなく徹底的なストレステストが可能になる。
第二に、「リーダーが最後に口を開く」規律の徹底だ。権力者が最初に所見を述べた瞬間、周囲の意見はその枠組みに吸い寄せられていく。意思決定者は会議の冒頭で中立を保ち、すべてのメンバーが持論を展開し尽くした後に初めて自らの見解を明かさなければならない。
第三に、プレモーテム(事前検死)分析の導入である。プロジェクトを実行に移す直前、「いまから1年後、このプロジェクトは壊滅的な大失敗に終わった」と仮定する。その上で、「何が起きて我々は失敗したのか?」を全員に書き出させる。成功を前提としたポジティブ思考の呪縛を解き、隠れていた懸念事項を安全にテーブルの上に引きずり出す手法だ。
第四に、独立したセカンドオピニオン班(レッドチーム)による検証だ。立案に関わっていない外部の人間や別部署の精鋭に計画を渡し、弱点を徹底的に攻撃させる。身内の文脈に染まっていない冷徹な視線だけが、エリートたちの死角を撃ち抜くことができる。
第五に、不協和音を歓迎し評価するカルチャーの再構築だ。耳の痛い指摘をした者を「空気が読めない人間」として減点するのではなく、「重大なリスクを未然に暴いた貢献者」として公然と称賛する評価基準を確立すること。違和感を口にすることが最も安全で報われる環境を作ることこそが、組織を破滅から救う唯一の防壁となる。 (出典: 集団 浅慮(Yahoo!ニュース))
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