なぜ読者はあの鬼畜劇に震えたか『連ちゃんパパ』狂気と破滅の真相
『連ちゃんパパ』を語る上で避けて通れないのが、倫理のリミッターが完全に外れた戦慄のエピソード群だ。進介はパチンコを打つ金を工面するため、息子の給食費や学費を平然と使い込み、親切にしてくれた同僚や知人を騙して借金の保証人に仕立て上げる。
さらに狂気は加速する。進介は妻を探し当てるものの、借金返済のために妻を風俗店へ斡旋し、自らはその稼ぎで玉を弾き続ける。他人の家庭を崩壊に追い込みながら、本人は「仕方なかったんだ」「家族のためなんだ」と心底から思い込んでいる節がある。この無自覚な寄生体質こそが、読者の背筋を凍らせる真相の根幹だ。破滅劇の果てに待つ結末もまた、勧善懲悪の爽快感とは無縁の、薄ら寒い日常への回帰という異様な切れ味を残している。