京都高雄の名刹・神護寺の全貌!空海秘宝と伝源頼朝像の真相解明
神護寺が所蔵する三大肖像画の筆頭、国宝「伝源頼朝像」は美術史上の大事件であり続けている。教科書に掲載され、日本人の脳裏に鎌倉幕府初代将軍の姿として定着したあの端正な容貌は、本当に源頼朝なのか。1990年代以降、黒田日出男氏や米倉迪夫氏らによって「足利直義像」説が提唱されて以来、学会を二分する激しい論争が繰り広げられてきた。
伝統的な定説では、平安末期から鎌倉初期の宮廷絵師・藤原隆信の筆による頼朝像とされてきた。しかし、装束の様式や画面の描法、寺の再興を主導した文覚上人と武士階級の関係性を再検討すると、南北朝期の足利直義(尊氏の弟)を描いたものとする見解も強力な根拠を持つ。近年では光学調査や顔料分析が進み、制作年代をめぐる議論はさらに先鋭化している。寺院の奥深くに守られてきた肖像が放つ静謐な迫力は、見る者の歴史観を鋭く揺さぶる。