節分に渡辺さんは豆まき不要?鬼が恐れる名字の由来と伝説の真相
渡辺綱の名を不朽のものとしたのが、中世の絵巻物や能、歌舞伎の演目としても名高い2大鬼退治伝説だ。
1つ目は、丹波国の大江山(現在の京都府福知山市周辺など諸説あり)を拠点に都を荒らしまわっていた鬼の首領・酒呑童子(しゅてんどうじ)の退治である。源頼光と渡辺綱ら四天王は山伏に変装して鬼の城に潜入し、神変鬼毒酒という毒酒を飲ませて油断させたうえで見事に討ち取った。
そして2つ目こそが、渡辺綱の武勇を決定づけた羅生門(一条戻橋とも伝わる)での茨木童子(いばらきどうじ)の腕切り事件だ。夜更けの都に出没した酒呑童子の右腕・茨木童子に襲われた綱は、名刀「髭切(ひげきり)」を一閃させ、鬼の太い片腕を切り落として撃退した。
首領を討たれ、ナンバー2の腕まで切り落とされた鬼たちにとって、「渡辺」の二文字と名刀の記憶はDNAレベルのトラウマとなった。この伝説から「鬼は渡辺と名乗る者やその子孫には絶対に近づかない」という信仰が定着したのである。