伝説ユニット「タンポポ」の光と影!名曲の舞台裏とメンバーの現在
1998年11月、衝撃的なデビュー作『ラストキッス』が世に放たれた。プロデューサーのつんく♂が意図したのは、当時のJ-POPシーンに吹き荒れていたハイテンポなダンスチューンに対する、強烈なアンチテーゼだったとも言える。スローテンポな6/8拍子のリズムに乗せられた繊細なメロディライン。グループの母体であるモーニング娘。が見せていたエネルギッシュな表情とは対極にある、静謐な情緒がそこには漂っていた。
当時、ハロー!プロジェクト内でも異彩を放っていたこのサウンドメイクは、単なる企画モノのレベルを明らかに超えていた。つんく♂独自の歌謡曲的リアリズムとアコースティックな温もりが融合した楽曲群は、聴き手の胸を鋭く刺した。なぜ彼は、平均年齢の若い少女たちにこれほど重厚な楽曲を与えたのか。そこには、女性の揺れ動く感情を音楽として結晶化させようとする、妥協なきクリエイターとしての野心がみなぎっていた。