高度成長を牽引した巨大世代の軌跡と社会保障クライシスの真相
長きにわたり納税と保険料の最大の拠出者であった人口の巨塔は、今や最大の受益層へと姿を変えた。すべての団塊世代が後期高齢者となったことで表面化した「2025年問題」の余波は、医療と介護の現場を激しく揺さぶっている。厚生労働省の推計でも国民医療費と介護給付費の急激な伸びが示されており、現役世代の負担率は限界に達しつつある。
年金の給付総額が膨らみ続けるなか、日本年金機構が取り扱う支払事務と財政バランスの維持は国家的課題だ。窓口負担割合の引き上げや高額療養費制度の見直しなど、痛み分けを伴う改革が矢継ぎ早に打ち出されているものの、制度疲労のスピードに追いついていない。高度成長期に設計された社会保障制度は、ピラミッド型の人口構成を前提としていた。その前提が完全に崩壊した空間で、いかに持続可能なセーフティネットを再構築するか。日本経済は前例のない耐久テストを強いられている。